年金基金
メリット
従業員が報酬に比例して支払った保険金の額に会社が上乗せして基金に積み立てています。
中小企業では業種別(情報処理関連、運送関係、薬関係など多種多彩)に複数の会社が集まり基金を設立しています。
基金は集まった保険金を運用して退職者に分配支給する仕組みです。
年金基金は老後の暮らしを支える自助努力の一種であり、会社も退社後の安心を与えることで、長く努める従業員を確保するため積極的に参加してきました。
リターンが大きければ分配金も大きく出来る
大手企業グループでも自身で運営した基金を代行返上して解散する例が多数見られます。
高度成長期には基金の資金をうまく使い、従業員と会社の資金で、工場拡張や新しい生産設備の導入にも資金を投資し、大きなリターンを得ることが出来ました。
しかし、こんな時代は終わり,
今では大手企業は人員を削減してまでもバランスシートを小さくすることに必死です。
厚生年金基金制度 廃止の方針が決まる
厚生労働省は、国に代わって公的年金の保険料の一部を運用している厚生年金基金の制度について、財政状況が悪化している基金が大幅に増加していることから、ほかの企業年金制度への移行を促すなどしたうえで将来的に廃止する方針を決めました。
年金基金の危機
厚生年金基金は、運用益をあげるため、公的年金である厚生年金の保険料の一部も国に代わって運用しています。
代行部分と言いますが、経済情勢が悪化したため深刻な財政状況に陥り、公的年金の支給に必要な積立金まで不足する基金が全体の半数に上りっています。
積立不足額は、各基金合わせて1兆1000億円(2012年9月情報)になりました。
従業員と会社が報酬に比例して積み立てた保険金を運用して、上乗せして退職者に支給するどころでなく、国が定めた報酬比例分も支払うお金が足りなくなってしまったのです。
金利の高い景気の良いときに分配率を上げたり、あまり使われない豪華なホール、保養所や、運動施設などをあちこちに作り支出を増やしたことや、なんといっても少子高齢化の影響で、積み立て者と受給者の割合が変化して毎年の収支が崩れてしまいました。
基金によっては、今までの損失を取り戻そうと名目上ハイリターンのファンドに飛びつき、巨額な預かり金を詐欺師に使われてしまったニュースが報じられました。
基金制度の廃止決定
厚生労働省は、特別対策本部を開き、基金の運用状況が大幅に改善する見通しはなく、このまま積立金の減少が続けば公的年金の財政に影響を与えかねないとして、基金を解散するか、ほかの企業年金制度へ移行するよう促したうえで、将来的に厚生年金基金の制度を廃止する方針を決めました。
具体的なスケジュールは未定
どの程度の期間をかけて廃止するかや、積立金の不足分をどうやって穴埋めするか、それに厚生年金基金に代わる新たな中小企業の企業年金の在り方などについて検討を急ぎ、改革試案をまとめることになりました。
制度の廃止によって
これ以上、杜撰な運営を続けて、詐欺師や基金の運営(理事、事務員の給与、立派なビルなどに多くの費用がかかります)のために、さらにお金が使われるなら廃止したほうが良いと言うことでしょうか。
基金運用者の一部が完全廃止までの短い期限に、博打的なハイリスクハイリターンの一発勝負を仕掛ける可能性を指摘する声もあり、決着がつくまで目が離せません。
いずれにしても、堪らないのは受給者です。約束された老後の生活は、大幅な変更を余儀なくされました。
2015年10月28日