待ち遠しい老後 2.先立つものが

老後の不安、一番の理由は、お金の問題です。
様々な雑誌、新聞、ネットの記事に老後に必要なお金は3000万円、1億円と大きな数字があげられ、憂鬱な気持ちにさせられます。
無いものをねだっても仕方がありません。人を羨んでも気が滅入るばかりです。自分のふところ状態を確認して出来ることをそましょう。
ここでは、お金について次のことを確認していきます。
– 老後、どれだけ収入があるか
– 心配にどれだけお金をかけるか
– いま、毎月いくら使っているのか
– 老後の収支を見つめる
老後、どれだけ収入があるか
老後の頼りと言えば年金ですが、年金だけで家計がなりたつか。暮らしていけるか?最大の不安です。
皆さん、自分の貰える年金を確認されましたか?、年金定期便の金額の確認、サラリーマンの方は厚生年金基金の額もチェックします。厚生年金基金や確定給付企業年金から確定拠出年金に変更されつつあり、受け取れる年金額を見込むのは難しくなっています。
会社の総務の方や年金センター、年金相談室、FPセミナーなどに相談して、金額を掴みましょう。
さて、年金が算出できても、年金から引かれる介護保険料と国民健康保険料を併せた社会保険料も意外に大きな金額なので、確認します。
20年前に比べると、高齢者向け税金の老年者控除優遇廃止や公的年金控除が縮小され、所得税と住民税もかかります。
東京23区に住んでいる方で、厚生年金で額面で月に25万円、年間300万円貰う方は、年間の社会保険料が30万円、所得税と住民税の合計が13万円、総額で額面の年金から年間43万円天引きされてしまいます。
つまり、年金の手取りは年間257万円、月に21万4千1百円です。
平均的な年金の月額、厚労省の夫婦二人のモデルでは、40年間サラリーマンとして働いた夫と、専業主婦の組み合わせを想定した支給額は221,277円です。ここから3万円近く引かれると、かなり厳しいですね。
心配にどれだけお金をかけるか
病気で寝込んでしまい高額の治療費がかかる。動けなくなっても、子供に下の世話まで見てもらうことは出来ない。迷惑をかけたくない。
高額の生命保険・医療保険をかけている方も少なくありませんが、国民健康保険の高額医療費支給によって、およそ9万円以上の負担は補助されますし、確定申告で10万円を超える医療費支出には税金の控除があります。
毎月高額の保険金を支払っている場合は、チェックしてはいかがでしょう。
また、介護施設の入居には3000万円以上費用がかかると一生懸命貯蓄して、つましい生活をされている方も少なくありません。
年金からも引かれる憎き介護保険ですが、収入が厳しい方の場合、1割負担ですから300万円の費用になり、介護認定されれば年金等で賄える範囲になります。
いま、毎月いくら使っているのか
リタイヤ後、現役時代に使っていた生活費の75%くらいは必要なようです。肝心な現役時代の今の生活費はいくらかご存知ですか?
折角の家計簿も書き込んでないお金ありませんか?
必ず、使っている家計費の総額を掴みましょう。
給料の手取り額、給料天引きの保険料、ローン金額を確認、銀行からの現金引き出し額に前月の残りを加え、今月の残りを引いて現金使用額を計算します。
これに、銀行からの自動振込み、キャッシング、クレジットカードの使用額を加えると毎月の家計費が計算できます。
(締め日によって時差が有りますが、基準日を決めて1年間チェックすれば要領がわかります。)
家計簿も細かくつけるのも大切ですが、まず使った総額を知ることが大切です。
老後の収支を見つめる
年金の金額は現役最終コーナーの生活費の75%を賄うことが出来ましたか?
全然足らないのではないでしょうか?平均的には、年金だけでは年間70万円前後赤字の収支になるようです。
また、個人一戸建ての場合、15年毎の外壁塗装など住居のメンテナンス費用は見落としがちですが、長期的な支出額もしっかり押え、月々の必要経費と考えることも大切です。
平均的な家計、年金では毎月の生活費に5万円足らない時はどうするか?
1.退職金の割り振りを考える。
2.貯金を考える。
3.生活費の節約を考える。
4.少し働く。
1.退職金を割り振る
勤め上げて貰える退職金は、サラリーマンにとって、大体一生に一度の大金を得るチャンスです。
株で増やそう、事業を始めよう、田舎で暮らそう、憧れの車を買おう、使い道は色々ありますが、焦って使ってしまう必要はありません。
退職金の使い道を考える前に大事なことは、いったい老後の収支はどうなるか知ることです。
余裕があれば、あと30年ありますから、使い道をじっくり考えましょう。
退職金の運用を信用できる銀行に任せるのも注意が必要です。鴨がねぎを持って鍋を背負っていくようなもの、という意見も有ります。
低金利で苦しい銀行は様々な商品を取り扱って、その手数料で稼ぐビジネスモデルに変わっています。
お客さんが儲けた額に比例してではなく、商品によって利益率は違い、様々な商品に移ってもらう方が利益に繋がるわけです。我々と銀行の目標は全然違うことは、意識しておきましょう。
退職金は、まずローン返済を考えます。住宅・学資・キャッシングについて利率の高いものから返しましょう。これだけの利率を稼げる貯金はありませんのでローンの返済は重要です。ただし、働けるなら、手元に家計費3か月分程度、簡単に現金化できる預金を残しましょう。
2.貯金を考える。
まだ、定年まで時間のある方、定年後も勤め続けられる方は蓄える早めの準備は大切です。
子供が大学を卒業すればかなり蓄えられるチャンスですが、役職定年、子会社転籍、契約社員などの身分変換などで給与が減額される場合もあり、熟年サラリーマンの貯め時も長くはありません。
先の事ですが、年金だけでは厳しそうなので少額でも貯金を考えましょう。
二人以上の世帯の平均貯蓄額
2016年で 1820万円だそうです。また、8世帯に1世帯は4000万円以上の貯蓄があるそうで羨ましい限りです。奥さんは「甲斐性なし!」と怒るかもしれません。
でも、ここまで届かない世帯が68%弱で中央値は1064万円で、6世帯に1世帯は200万円以下の貯金だそうです。
すごい、お金持ちも相当いますが、そうでもない方も相当いらっしゃいます。
人の懐具合を怒ったり、それと比べて悲しんだりしても仕方ないのです。
いま、あるお金を大事に使うことにしましょう。
3.生活費の節約を考える。
入りが足らなければ、出を抑えることになります。生命保険の見直し や車を手放すのは費用削減効果が大きいです。
郊外の一戸建てはメンテナンス費用を考えると維持が大変ですから、将来子供さんが住むつもりがあるか話し合うのも大事です。子供さんが共稼ぎの場合、それぞれの職場や転勤なども考えておく必要があります。
一戸建てを手放し、夫婦で小さな中古マンションに住み替えるのも検討してはいかがでしょう。
マンションは管理を買えと言うくらい購入時には慎重なチェックが必要ですが、鍵ひとつで戸締りできる点は魅力です。庭いじりが出来ないのは寂しいですが、、、、
駅近なら車が無くても不便はないですし、必要時にはレンタカーを借りる手もあります。
啓太電話の通信費も大きな出費ですが無いというわけにも行きません。 格安SIM対応機(SIMフリー)で機能は十分ですから取り替えると費用は削減できます。
併せて、固定電話を無くすことも考えられます。
日々の出費をあまり細かく管理しても、気が滅入る割には効果は少ないと思います。出費の総額をチェックし、大物からメスを入れていくことが大切です。
4.少し働く
人手不足が話題になっています。バブル期を上回る有効求人倍率だそうですし、配送やコンビニのアルバイトの募集は比較的多いようです。3~4時間の短い仕事でも20日で5~8万円稼ぐことが出来ます。2~3年の短期間でも120万円~300万円ちかく稼ぐことが出来ます。働いている時間はお金を使えないだけでも出費を抑える効果は、大きいので考えてみては如何でしょう。
健康年齢の間は、なまじの趣味より面白い仕事があるかもしれません。
現役時代の立場や世間体を気にする必要は全くありません。だ~れも貴方のことを気にかけたりしませんから。
でも現役から、あまり時間がたって空白期間が長くなってしまうと仕事を見つけにくくなります。リフレッシュと失業給付や職業訓練の期間が終わったら本格的に探します。地域の公共機関の募集もチェックしておきましょう。11月頃から4月までの税務署の募集もあります。
先立つもの
サラリーマンだった方の平均的な年金世帯では月々5~6万円不足、年間60~70万円が赤字。
一方で現役の方でも、月々15~18万円の手取りでアパート住い、子供さんを育てている方も沢山いらっしゃいます。
裕福な方もいる一方で、厳しい暮らしの方も大勢います。20万円の手取りで夫婦が暮らせないことでもありません。先の事を考え過ぎて毎日を憂鬱に暮らすのは勿体無いこと、今を楽しむことが大切です。
月に5万円を目標に働くことで、健康でいられる期間が伸ばせるかもしれません。
2017年6月21日