再び年金を考える
ほとんどの人が老後の不安一番先に上げるのは、お金の問題です。
年金には持続性に不安もありますが、何時まで生きるかわからない寿命を最後までフォローする保険はありません。
老後のお金は死ぬまで貰える年金制度を柱に考えます。収入と支出について物価上昇も見込んで考えてみましょう。
平均的なサラリーマンの場合
収入:年金額はモデル世帯平均221,227円
厚生労働省が毎年発表している、モデル世帯における夫婦二人(厚生年金受給者)の年金額は平成29年度では1カ月あたり221,227円で、平成28年度221,504円より277円減りました。
支出:老後の生活費はどのくらいかかる?
総務省の「家計調査(二人以上の世帯)」平成29年11月分から、定年退職者の比率が高い無職世帯一ヶ月の平均支出とその項目は
●支出総額 250,270円
・食費 66,305円
・住居 15,006円
・水道光熱 19,488円
・家具、家事11,941円
・被服費等 7,487円
・保健医療 16,045円
・交通通信 31,824円
・教育 1,307円
・教養娯楽 24,043円
・その他 45,661円
(主な内訳-理美容、おこづかい、交際費、嗜好品、諸雑費など)
・税金 社会保険料 11,164円
平均収支:赤字
収入から支出を引くと赤字、赤字額は221,227―250,270=▲29,043円
毎月2万9千50円不足しますので、退職金や貯金を取り崩したり、アルバイトをして補填しているようです。住居費を見た限りでは持ち家か親の家に同居しているイメージがあります。
2%の物価上昇が怖い
物価上昇について、大事なこと、老後はどのぐらいの長さ「時間(期間)」になるかです。寿命は誰にも判りませんが95歳とすると65歳で年金を貰い始めてからは30年の長い時間があります。
政府と日本銀行は物価を毎年2%ずつ上げる目標を掲げ必死に取り組んでいますので、支出が毎年2%アップすると試算するには30年後は1.02を30回かけて
1.02X1.02X1.02X1.02X・・・・・・・・・・X1.02=1.81倍 25万円は45万3千円くらいになります。
毎年の額を計算して足し合わせると、30年では 1億2170万円が必要になります。
一方、年金は物価上昇通りには上がりません。
2004年の年金改正法案の成立によって「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されました。
「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組み。
現時点では、物価が2%ずつ上昇しても年金はその上昇率に対して0.9%差し引いた1.1%しか上がらない仕組みです。
1.011X1.011X1.011X1.011 ・・・・・・X1.011=1.373倍 約22万円は30万2百円くらいになります。
毎年貰える年金の額を足し合わせると、30年では 9408万円になります。
老後30年の不足額は 9408-12170=▲2762
30年で2762万円の不足、よく言われる定年時には3千万円欲しいと言われる数字が出てきます。
ちなみちょっと余裕のある毎月の生活費が27万円の場合
不足額は3736万円、ちょっとの油断が後々大きな金額なります。カード払いの金額もしっかり把握しましょう。
30年間の運用益もありますので、退職時に上の全額が必要ではありませんが、退職時に保有したい金融資産の目安として心にとめておきたい数字です。
早めの準備
何時までが自分の寿命になのかは誰も判りません。不幸にして?110歳まで生きるかもしれませんが、そうすると定年後が45年あります。そこまでは難しいとしても、平均的な30年分のお金を定年間近になってからの準備を始めるのでは遅すぎます。
自分の環境と将来像を考えて、早めに準備にとりかかりましょう。
年金は柱
死ぬまで支給される公的年金は、人生の最後の最後ではただ一つの命綱になります。年金制度をよく調べて1円でも多くもらえるようにしましょう。
社内で自分のラスト10年を読み、退社時の金融資産を見積ります。
最終役職は社長、役付役員、子会社役員、部長、課長または役職定年で一般職に逆もどり、再雇用、臨時社員になっているかもしれませんし、予測は困難です。
頼みの退職金制度も役職定年や制度改定の影響を受け、今とは変わっているかもしれません。
許されるなら副業を持つ、資格をとることも考えます。また道半ばで、友達も多い田舎に帰り、親と暮らし田畑のお守りをすることも考えられます。案外思うようにはならないのが普通です。
退職時のイメージをしっかり持つ
定期的な収入が途絶える、定年時のバランスシートはどんな風でしょう。金融資産と不動産、車の現在価値はローン以上ありますか?
借金は返済完了している(物価が上昇すると命取り・退職金では返済しない出来るだけ退職前に返済する)
体の傷んだ部分は在職中に治療し完治している(健康保険は使い倒す)、家の外壁、屋根、屋内の老後用リフォームも修繕完了している。
子供の教育・扶養費は終了している(もし必要なら、出来るだけ長く働ける手立てを考える)
老後のイメージを持つ
住居費は家計に占める比率が高いので住むところから老後を考えるのも大切です。
郊外の家に住み続ける
*メンテナンスは大丈夫か、子供や孫は住むのか、友達はいるか、ちょっとした仕事を見つけられるか、都心出るにも往復3000円もかかる?(アルバイトでは交通費を全額支給しないケースも)
*街中に住む(家賃やローンは大丈夫か、今の荷物を整理できるか、友達はいるか)
貯める・節約する習慣をつけます
会社生活は40年から45年あります。20歳+45+30=90歳。貴方の父ちゃんが働いて20歳まで育て上げました。貴方は45年働く中で40年厚生年金を払い込んでも、老後の30年にはおよそ3000万円足りません。
老後資金として35歳から55歳までの20年で2000万円貯めましょう。家のローン返済・子供の学校と重なり大変ですが、55歳からの10年で貯金と退職金で残りの1000万円を確保しましょう。
どうにもならない
そんな余裕はないと言われる方も少なくないと思います。
月々の不足額は平均で2万9千50円ですから単純計算では、30年で1050万円。
65歳から75歳まで毎月10万円、毎日4千円アルバイトをすることで単純計算では1200万円できます。
また、75歳からは交際費も減りますので、不足分を節約することも考えます。
ちぇすとー
けばれ!
自分!
2018年6月14日